Blog, オフィスの整理整頓
不器用で万年残業のアラサーOLが、定時退社とキャリアアップを実現!仕事の効率10倍アップを叶える、デスク周りの整理整頓術
お客様との電話が長引いちゃった…
「ヤバイ!次の打ち合わせに遅れちゃう」
「あれ?打ち合わせ用の資料どこだっけ?」
「えーと… 打ち合わせ会場が記されたメールは……」
「いってきま~す!あ、名刺忘れた!!」
これが片岡さんの、いつもの仕事ぶりでした。
仕事も準備も、後手後手で[残業]が定番
『資料を探す』『メールを探す』この動作が面倒で、後回しにしていたんです。
準備さえしておけば、名刺を忘れて取りに戻るという、ムダな動作は生まれなかったのに…
悪循環です。
片岡さんは、入社10年目の事務職、役職のない33歳
ご主人と2歳の息子さんがいます。
2年の育児休暇が明け、職場復帰した部署は、仕事の内容がとてもハードでした。
子どもの迎えを、ご主人・二人のおばあちゃん・ベビーシッターさんに、代わるがわるお願いして残業の日々。さらに、休日出勤も頻繁にしていました。
このころの子どもって、かわいい盛りです。
そして、誰よりもお母さんと一緒にいたいとき。
片岡さんさんも、それは痛いほど感じていました。
本当は、もっと子どもと一緒に過ごしたい。保育園のお迎えも、母である自分が行ってあげたい。
自分の顔を見た瞬間に、勢いよく駆け寄り飛びつくあの笑顔、仕事の疲れが吹っ飛ぶ瞬間なのに…
年齢とともに疲れが取れにくくなり、ついイライラしてしまう。
それを自覚しながらも「周りの同僚も同じように残業をしている、忙しい部署なんだから仕方ない」と、その生活を続けました。
◇
そんなある日の残業中、給湯室で話す、総務課の人たちの雑談が聞こえてきました。
女性社員A
「ところで・・・さんの、デスクの上ってすごくない…」
女性社員B
「あ~、あの人ね… 足元まで書類の山だし、よくあんな中で仕事できるよね」
女性社員A
「話しも長いし、業務連絡のメールもいちいち長文だし、絡むの面倒、ウザい」
女性社員B
「いっつも遅くまで残業してるしね」
“・・・さんって!? 聞こえなかったけど、わたしのことだ!!”
女性社員A
「それに比べて、木村さんのデスクの中、見たことある?」
女性社員B
「ある、ある!デスクの上も何もないけど、引き出しの中も、何も入っていないよね!」
女性社員A
「パソコンの中も、整い過ぎでヤバイよね!」
女性社員B
「そ~!共有フォルダも、木村さんの係は整理整頓されていて、データ探すとき、めっちゃ助かるの~~」
女性社員A
「木村さん、滅多に残業しないし[ムダ]という2文字がないよね~」
“わたし…仕事ができない代表として、木村さんと比較されている……”
そう思った片岡さんさんは、その日はショックを隠せず、残業を切り上げて帰宅しました。
帰宅中、モヤモヤしながら考える片岡さん
“木村さんのデスクの中も、パソコンの中も、もちろん見たことがある。はじめて見たときはビックリしたもん。
10年間、人事異動を経てたくさんの同僚を見てきたけど、あんなデスク周りの人を見たのは始めてだったから。”
木村さんは、仕事が早い、いわゆる『できる人』
本当にスマートな仕事ぶりで、これが効率的な仕事って言うのかと魅せられました。
そのとき片岡さんさんは、ハッとしました。
“いわゆる『できる人』たちって、皆んなデスク周りがキレイかも!?
総務課の女性社員たちも、あの上司も、この同僚も、思いつく『できる人』たちは、皆んなデスク周りがキレイだーーー!!!
よし!自分もまずカタチから入ろう!!
明日から、デスク周りとパソコンの中を整理整頓するぞぉ!!!”
片岡さんは、次の日から
モノがないデスク周り&見たいデータがすぐに見つかるパソコンの中
を目指して、少しずつ整理整頓を始めました。
通常業務があるので、一気には時間を取れない。だから、まずは足元の書類を毎日5cmずつ見直しました。
「いつか使うかも」と持っていたけれど、結局いつまでたっても使わない書類や、重複した書類がたくさん出てきました。
“「面倒くさいから後でやろう」「忙しいからとりあえず」
そうやって書類を積み上げてしまう、気持ちの甘えが、この書類の山を作っていたんだ…”
◇
いいペースで進んでいましたが、ある日仕事上でトラブルが。
数日前に対応したお客様から、片岡さんの対応に納得いかない、とお怒りの電話が入りました。
「あなたお給料もらっているんでしょう!さっさと対応しなさいよ、この給料泥棒!!」
「そんなチンタラした対応で、ここが医療現場だったら、あなた人を殺しているわよ!!!」
強い言葉で攻め立てられ、なかなか怒りを収めてもらえません。
そんなときに限って、子どもが熱を出し、保育園から呼び出しがくる始末
最終的に、上司の山田係長に事を収めてもらったのですが、この不甲斐ない過程と結果に、かなり落ち込む片岡さんさんでした。
その日以降は、もう整理整頓どころではありません。
トラブルの対応と子どもの発熱で、通常業務も滞ってしまいました。
気持ちに余裕がなくなり、あっという間に、またいつもの山積みデスクに戻っていました。
“どうせ、わたしは仕事できないし。整理整頓ニガテだし。変にヤル気出してもムダな抵抗だ”
そんな風に投げやりになってしまった片岡さん
でも、くさってみたところで、目の前の仕事が無くなる訳ではない。
病み上がりの子どもの側に、早く帰ってあげたい思いを打ち消し、その日も残業をしていました。
そこへ、総務課の野田さんが話しかけてきました。
野田さん
「この前は大変だったみたいね」
片岡さん
「そうなんです…」
野田さん
「そんなときにする話しではないんだけど、最近の片岡さん、なんか雰囲気変わったよね。デスク周りもスッキリしたし、パソコンの共有フォルダも整えたでしょう?」
片岡さん
「え~!気がついてくれたんですか!木村さんのデスク周りに刺激されて、頑張ってみたんです」
野田さん
「やっぱりそうだったか。最近は残業も減ってきているよね?ごめんね、総務だからその辺のチェックはどうしても」
片岡さん
「不思議なもので、身の回りを整えたら、仕事がスムーズなんですよね。探しモノにイライラしなくなったなぁ、とは思っていましたが…」
「…あ、でも、溜めこんでいた書類を、要る要らないって判断しているうちに、仕事上でのいろんな判断も早くなった気はします」
野田さん
「あ~、分かる~!持ちモノの選別って、判断力を鍛える感じするよね!!」
「だからかぁ、最近、山田係長が片岡さんによく仕事を振るなぁって思っていたんだ」
片岡さん
「山田係長から振られる仕事は、面白いものが多くて、実は今、仕事が楽しくなってきているんです!」
「前は残業残業で、疲れ果てているだけだったのに」
野田さん
「そうなんだね~、残業が減って、面白い仕事も任されるようになって、全ては整理整頓のお陰?整理整頓あなどれないねぇ!」
「共有フォルダ内が整理整頓されているから、データが探しやすくて、総務課としても助かっているよ」
片岡さん
「良かったです!でも忙しくなると、リバウンドぎみになるんですけどね…」
片岡さんは、以前は何をするにも、まず書類やデータを探すことから始まっていました。
探しもので事務所内をあちこち動き回ったり、いちいちモノを避けながらモノを取ったりして
効率の悪い動作に時間を費やしていました。
でも整理整頓をして、きちんと段取りされた仕事環境になったことで、ムダなことに業務時間を奪われることがなくなりました。
そして、モノの選別を通して判断力も養われ、自分でも気がつかないうちに、仕事の効率が上がっていたんです。
片岡さんは、野田さんとのお喋りで、すっかり元気になりました。
気を取り直して、山積みになったデスクの上を整え、子どもが待つ自宅へ帰っていきました。
その後も、少しずつながら、着々と整理整頓を進めた片岡さん
相変わらず、忙しい時期やトラブルがあると、デスクの上をいっとき山積みにしてしまうけれど、だんだんそれは想定内と思えるようになってきました。
山積みになっても、すぐに整えることができるようになったからです。
その様子を見ていた山田係長が、部署全体で整理整頓の活動に取り組むことを、総務課の野田さんに提案しました。
整理整頓で身の回りがスッキリし、明らかに仕事のパフォーマンスがあがった片岡さんを、山田係長が認めてくれたのです。
野田さんも、片岡さんの変化は知ってはいたものの、部署全体となると、費用対効果など懸案事項が増えます。
当初は難色を示してた総務課ですが、片岡さんの残業時間が減った事実が決め手となり、まずは社員研修の実施が決まりました。
◇
それから半年後、部署全体の整理整頓活動がどんどん進み、個人のデスク周り、共有のキャビネト・備品庫が、スッキリキレイになりました。
誰が見ても、どこに何があるか分かるようになり、段取りされたシステマティックな職場環境が実現しました。
「アレどこにある?」と探しモノをする社員
「アレどこにある?」と聞かれて、業務の手を止める社員
そんな光景は、なくなりました。
新しく配属された派遣社員も、人事異動できた社員や新入社員も、探しモノで苦労する場面はありません。
その効果は、数値にも見事に表れました。
部署全体の業績アップを実現しながら、残業時間が40%減ったのです。
その結果、ボーナスアップというご褒美まで手に入りました。
整理整頓の活動を始めて2年が経ちました。
片岡さんは、余裕を持った仕事の取り組みが評価され、重要案件のメンバーに抜擢されました。
もちろん、整理整頓活動のリーダーも任されています。
育児休暇が明け、職場復帰したころは残業三昧で、いつも疲れて不機嫌そうだったのに、今では明るく前向きな、会社の戦力です。
家族との時間も大切にできているようで、ときどき有給休暇をとって家族旅行に行っています。
もう、名刺を忘れて慌てて取りに戻る、片岡さんのことを覚えている人はいなくなりました。